遺産を相続したり、贈与されたりしたときに必要になる不動産登記。
あまり聞きなれず、むずかしく感じるかもしれません。
私もそうでした。
手続きがわからず先のばしにしていました。
不動産登記の手続きは、一生のうち数回行う方がほとんどだと思います。
専門家に依頼することも多いため、どのようにすればよいのかわからないからだと思います。
今回私は、父から贈与された土地の登記申請を自分で行いました。
この記事では、不動産の贈与を受けた時の不動産登記申請の手順や注意点、自分でやることのメリットとデメリットを紹介したいと思います。
不動産登記とは?
まず「不動産登記」について説明します。
不動産登記とは,国民の大切な財産である不動産(土地や建物)の一つ一つについて,どこにあって,どれくらいの広さがあって,どなたが持っているのかといった情報を,法務局の職員(登記官)が専門的な見地から正しいのかを判断した上でコンピュータに記録することをいいます。
不動産登記:法務局 (moj.go.jp)
登記をすることにより、その不動産が誰のものかということが公に示すことができます。
不動産を相続した時、不動産登記(所有権移転登記)をせずにそのままになっている場合が多くあるようです。
所有者がわからないなどのトラブルを避けるためのも、不動産を相続などしたときは、登記申請を済ませるようにしましょう。
令和6年4月1日から不動産を相続したときの登記申請が義務化されます。
自分でやることがむずかしい場合は、専門家(司法書士や土地家屋調査士)に頼む方法もあります。
不動産登記を自分でするメリットとデメリット
メリット
- 専門家(司法書士など)に依頼した場合の報酬(約5~15万円程度)を節約できる ※ケースにより金額は異なる
- 知識になる。今後同様のケースが発生した場合、自分で不動産登記申請することができる。また家族に教えることもできる。
デメリット
- 証明書類の取得や申請、登記識別情報通知書を取りに行くなど、仕事などで平日に時間が取れない場合はむずかしい
- 申請書などの書類作成がむずかしい
- 申請書に間違いがあった場合、法務局に出向いて修正する必要がある
不動産登記を自分で行う場合の手順
私が今回行った不動産登記の具体的な手順は以下のとおりです。
- 法務局に問い合わせ
- 登記申請書類の作成
- 農業委員会での手続き
- 証明書の準備
- 署名捺印
- 申請書類提出
- 登記識別情報通知書を取りに行く
法務局に問い合わせ
不動産登記について詳しくない場合は、法務局に直接問い合わせてみるのがおすすめです。
それぞれのケースによって必要な添付書類などが違うからです。
ネットにものっているのですが、直接聞いてしまったほうが早く進みます。
私は登記簿謄本が必要だと思い法務局にいきましたが、行って聞いてみた結果、必要な情報が分かっていれば、登記簿謄本を取る必要はありませんでした。
また、登記する不動産に農地が入っている場合、農業委員会での手続きが必要になります。
窓口では親切に対応していただき、申請書の書き方や記載例など詳しい書類をくださいました。
結果としてネットで調べるよりわからないことが早く解決しました。
また今はコロナのこともあり、対面での相談はしていませんでした。
しかし、予約を取って電話での相談ができました。
私は2回電話相談をしましたが、予約もその日のうちに取れました。
パソコン画面や必要な書類を見ながら自宅で相談できるので、私の場合はその方が都合がよかったです。
申請書類をつくる
法務局のホームページからダウンロードしたものに記入して登記申請書を作成しました。
専門的なわからない言葉もありむずかしかったです。
法務局でもらった書類の中に、記入例と注意事項が詳しく書かれていたので、助かりました。
それでも、「自分の場合はどうなのだろう?」と思うところがありました。
そんな時に利用したのが電話相談です。
例えば、添付書類の「登記識別情報(又は登記済証)」は父が失くしてしまっていました。
電話相談で確認したところ、提供することができない理由として「紛失」と記入すればよいとのことでした。
「不動産の評価額」と「登録免許税」についても自分で計算し記入しなければなりません。
不動産評価額は毎年市役所などから通知される固定資産課税明細書に記載されています。
また、市役所の税務課で「固定資産評価証明書」を取得してもわかります。
※写しを添付書類として提出し、確認のため原本も必要になります。
詳しい計算の仕方も法務局でいただいた書類に書かれていたため、自分で行うことができました。
農業委員会で手続き
電話相談の時に「農地はありますか?」と聞かれ、農業委員会の手続きが必要なことがわかりました。
農地の贈与や相続などする場合は、農業委員会の許可が必要になります。
私の場合は、簡単に許可が出たのですが、ケースによっては1ヵ月近くかかることもあるそうです。
農地がある場合は、農業委員会での手続きを先に始めたほうがいいでしょう。
証明書の準備
申請書に添付する書類を準備します。
印鑑証明書や住民票などです。
私の場合、固定資産税評価証明書も税務課で取りました。
農業委員会も市役所内にあったので、同日に手続きをしました。
市役所は平日に行かなければならないので、平日仕事をしている場合はむずかしいかもしれません。
農業委員会にも手続きのやり方の説明と申請のため、結局2回行きました。
署名捺印
書類ができたら署名と捺印です。
私は父に委任され今回の申請を行ったので、できた申請書と添付書類を父に見せながら説明し、署名と捺印をもらいました。
父にとっては大きな財産を失うわけですから、きちんと説明が必要ですし、そのため実印が使用されます。
申請書類提出
法務局で申請書類を提出します。
法務局内で収入印紙を買い、必要な場所に貼り付けます。
と言っても、不動産登記申請で貼る印紙の枚数は多いため、どのように貼ればよいのかわかりませんでした。
これも窓口で教えていたできましたが、結果としては必要な金額分の印紙が貼ってあれば大丈夫です。
その後窓口で提出し完了です。
登記識別情報通知書を取りに行く
登記が完了したら3ヵ月以内に法務局に登記識別情報通知書を取りにいかなければなりません。
※本人が行けない場合は委任状を持参すれば代理の方の受領できます
私の場合は、3週間後にはできていると言われました。
法務局から「登記識別情報通知書ができました」と通知や連絡はないので、自分で取りに行く必要があります。
本当かわかりませんが、「ずっと取りに来ないと処分されます」と言われました(汗)。
忘れないように注意しましょう。
まとめ
不動産の登記申請はむずかしいですが自分でもできます。
特に私のような時間のある主婦は、平日にも動けますし、専門家への依頼料を節約することができるのでおすすめです。
父も「自分が元気なうちにできてよかった」と言っていました。
考えたくはありませんが、高齢になり判断がむずかしくなると、手続きもスムーズにいかなくなります。
令和6年4月1日から不動産を相続したときの登記申請が義務化されます。
相続した土地の登記がまだの方も早めに済ませてしまいましょう。